『生きなきゃ』
ふとした拍子にうかんでくる…
萩尾望都
“小鳥の巣”の登場人物のせりふ
ドイツの寄宿舎に入っている少年だが、面倒見がよく、
ここに馴染めず、校舎から飛びおりて亡くなってしまった転校生の少年に責任を感じつづけている
唯一、温室で薔薇を育てている
同級生に、なぐさめを見いだしていたのだが、
その彼も、主人公であるバンパイアのため、喪ってしまう
その上で、
『生きなきゃ』
と言ったのだ
が、それ以上に、背景には
大きな戦争があったのだ
(設定は第二次大戦後)
国自体が崩壊し、加害国として責任を問われ、少年たちも、家族や友人、たくさんのものを失っている…
作品を読んだ当時の私は、
なにも、わかっていなかった。
このことばが、そこまでの重さをもって、胸に迫ってはいなかった。
それでも、このひと言だけは、
心にとどまり続けた
多くの別れがあり、
両親も向こうへいってしまったけれど
『生きなきゃ』
たったひと言が、わたしを励まし続けるのだ
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